Tractable
17.01.2023
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自治体における「AI Property」の活用検討(浜松市での取り組み)
Tractableは、政令指定都市である浜松市と共同で、写真だけで建物の損害額を自動算出する「AI Property」の技術を活用し、自然災害発災時に「り災証明書」を正確かつ迅速に発行することができないか検証する取り組みを実施しました。
Tractableは、自然災害等で被災された方の日常を1日でも早く取り戻すことを目的に、被災した建物の損害箇所をスマートフォンで撮影し、写真をアップロードするだけで、建物の損害額を自動算出する「AI Property」を保険会社向けに提供しています。この技術を活用して、自然災害発災時に各自治体が発行する「り災証明書」を正確かつ迅速に発行することができないか検証する取り組みを、政令指定都市である浜松市がTractableと共同で検討しました。
1. 取り組みの背景
近年、自然災害が頻発していることに加え、その規模も年々甚大になっている中、自然災害発生時の自治体の役割はますます高まっています。中でも、「り災証明書」は自己判定方式の場合を除き、調査員による実地調査を経て発行しているため、大規模な自然災害が発災した場合であっても正確かつ迅速に発行する必要があり、取り組みの重要性が高まっています。
2. 取り組み内容
Tractableと浜松市は、2022年に発生した台風による風害を対象に、Tractableが「AI Property」で実用している建物の画像解析技術を活用し、り災の判定に必要な情報を算出することによりり災証明書の正確・迅速な発行の実現可能性を検証する取り組みを進めました。
2022年は幸い浜松市に風害による大きな被害は発生せず、「AI Property」を活用した検証機会はありませんでした。しかしながら、同年9月の台風15号では過去最大規模の水害が発生し、同市は400件を超えるり災証明書の発行業務に追われました。当該災害では、住民が「り災証明書」の申請をしてから、早ければ約1週間程度で証明書を交付することができましたが、今後、さらに大規模な災害の発災を想定した際に解決すべき様々な課題もみつかりました。
3. り災証明書交付における課題および将来像
水害での対応を踏まえ、浜松市の担当者は、「り災証明書」交付における課題について次のように述べています。「り災証明書の申請を住民が自治体庁舎に来庁しなくてもよい仕組みの構築や、大規模な災害が発災した場合でも遅滞なく迅速にり災証明書が発行できる仕組みを検討することが重要です。」
また、Tractableに対しては、「調査後の損害程度の判定においてかなり大きな工数を要し、大規模な災害では調査に要する人員が不足することも想定されます。調査時に撮影した被害状況写真から、被害認定の判定ができるシステムが実現すれば、調査効率向上が期待できます。」と期待を述べています。
Tractableが「AI Property」で提供している技術は、このような課題解決に非常に有用です。将来的には被災住民がWebでり災証明書を申請した当日にも判定結果を得られるような仕組みの構築も可能と考えています。
Tractableは自然災害発災時の社会問題を解決するソリューションの提供に向けた取り組みを進めていきます。